最新!Hot Message from Dr.TSUJI 2003年5月前半号

神様マイケル・ジョーダンはわたしたちに何を残したのか?

 ついに神様も引退した!NBAから人類至上最高のアスリートの1人であるマイケル・ジョーダンが15年間の競技生活に終止符をうったのである。神様といわれる彼の引退メッセージはいったいわたしたちに何を伝えたかったのか考えてみたい。
 最後の試合は15得点だった。これまでの彼のキャリアは語るまでもないだろう。得点王など10タイトル、6度のNBAチャンピオン、5回のMVPを獲得している。しかし、彼の神様たる所以は、このだれもまねできないキャリアではなく、彼自身の世界中の人々に発するメッセージなのだと思う。もちろん、子どもたち自身にもそして子どもたちを指導するコーチや親にもそのメッセージは間違いなくとどいていることだろう。

 引退記者会見で、マイケルはまずこう言っている!"Basketball has been my life. No way you
would ever have come in contact with me without the game of basketball. No
way would I have been in contact with a lot of other people without the game
of basketball. It gave me an outlet. It gave me a chance to experience life
all over the world, not just here in the States.

“バスケットボールは、私の人生だった。バスケットボール無しで、私との関わりを語ることはありえないだろう。また。バスケットボール無しで、私が関わってきた人々のことを語ることもありえないだろう。バスケットボールは私に入り口を与えてくれた。アメリカだけではなく、世界で活躍する経験・機会を与えてくれた。”
 この言葉からわかることは、彼がバスケットボールを人生として間違いなくとらえていることである。すなわち、それは単にゲームでもスポーツでも勝負でもなく人生そのものであったのだ。特にバスケットボールのもつ人生に役立つ価値を出会いと考えているようだ。バスケットボールを入り口として、人生に最も大切なものの1つである出会いを手に入れたと・・・。子どもたちにはぜひ伝えたい。バスケットボールは出会いなのだということを!そして人生ではさまざまな人と出会うことで自分らしく生きていけるのだということを大人たちは教えなければないないだろう。バスケットボールで孤独になったり友達を失うなどありえない。

 さらに、"I've used the game as much as the game has used me, as a method of
teaching the game and passing on the correct way to play the game. It
obviously gave me a lot of opportunities in terms of materialistic things as
well as being able to touch people's lives.

“ゲームが私を必要としていたように、私はゲームを必要としていた。ゲームから学べること、正しい方法でゲームをすることを伝えていった。明らかに人々の人生に関わるたくさんの材料を与えてくれた”
 バスケットボールはしかしそんな深刻なものでもないことをジョーダンは私たちに教えてくれている。所詮、スポーツしかもゲームなのだ。人生に役立つ多くのものを教わるすばらしいものだが、たかがバスケットボールであることも大切なメッセージであろう。ルールの中で楽しみながら、人生を学習するとでもいうのだろうか?Play Basketballなのでから・・・。これまでもこの連載で述べてきたように、子どもたちはなぜスポーツ、バスケットボールに参加するのかという質問のダントツ1位は楽しいからなのだ!楽しいと学ぶべきことがなくなるというのは大人の勝手な判断である。プレイしゲームを楽しんで来たマイケル・ジョーダンがそんなゲームで多くを学んだといっているのである。勝つことがすべての子どもの指導者たちが少なからずたくさん存在しているのも事実である。勝つ前にバスケットボールの価値を考えてほしい。勝つことの価値ではなく・・・。
そして、そんなバスケットボールで彼は人生で大切なことの何を教わったのだろうか?またどんな価値を我々は大人は子どもたちにバスケットボールを通して教えなければならないのだろうか?ジョ−ダンはこう述べている。

 "It taught me a lot of things about life in terms of respect, hard work,
determination, achievement, setting goals, a lot of basic things in life.

“バスケットボールは 私にたくさんのことを教えてくれた。人を尊敬すること、一生懸命になること、決断すること、達成すること、目標を設けること、それは、人生において基本的なことだった。”
 バスケットボールを通して学んだことはスラムダンクでもシュートでもなく、人生において生きるための基本だと引退するにあたっての最後のNBAプレヤーとしてのマイケル・ジョーダンは述べている。ジョーダンの言う、「人を尊敬すること、一生懸命になること、決断すること、達成すること、目標を設けること」は、今私たちがバスケットボールで本当に子どもたちに伝えていることだろうか?これらの考え方や生き方を“ライフスキル”、わたしは“社会力”と呼んでいる。バスケットボールは人生に役立つライフスキルを学ぶための手段なのだ。そして、そのことに気づいている人は極めて少ないが、このライフスキルや社会力を備えている程、実は試合でも活躍でき強い選手なのである。そのことを科学的バックグラウンドとして主張しているのが、教育スポ−ツ心理学である。すなわち、人間的成長と競技としての結果がパラレルに存在しているということである。わたしは事の点を特に指導者の方々に強調したい。
 くしくも、ジョーダン最後の試合の相手はフィラデルフィア76rsの悪童アイバーソン。今アイバーソンはNBAにいて、人間的成長と競技としての結果の相互関係をひしひしと感じ、自己成長していることでしょう。マイケル・ジョーダンはそれをアイバーソンにも伝えたかったのかも知れない・・・。
(バスマガ次号掲載内容より)


Dr.TSUJI

Copyright (C) 2000 EMINECROSS MEDICAL CENTER. All Rights Reserved